新築マンションの高騰が続く中、価格や広さなどの面でメリットのある中古マンションの取引が活発になっている。中でも有力な選択肢となるのが、中古物件を事業者が買い取りリノベーションして提供するマンションだ。
マンション大手・大京の子会社である大京穴吹不動産が手がける買取再販事業「Renoα(リノアルファ)」も、これまでに1万2000戸以上(*注2)を供給した実績を誇る、業界トップのブランドだ。同社は第三者視点で情報提供する「不動産市況オンラインセミナー」も主催しており、中古マンションの売主、買主の双方から「本当に知りたい情報で役立つ」などと好評だ。
好調な大京穴吹不動産だが、その秘訣は何なのか。
ライオンズマンションなどのブランドで業界をリード
――大京穴吹不動産というと、「ライオンズマンション」「サーパスマンション」のイメージが強くあります。これまでの長い歴史が信頼感につながっているのではないでしょうか?
杉原:大京は累計46万戸の「ライオンズマンション」を分譲してきた業界のリーディングカンパニーです。大京穴吹不動産は、1988年に売買仲介を目的とする一部門として設立されたのが始まりです。
中古マンションを買い取り、リノベーションして再販する買取再販事業にはいち早く乗り出し、現在まで累計1万2000戸以上(*注2)の実績を誇ります。これは業界トップ(*注1)の数字です。
*注1…リフォーム産業新聞の調査データ(買取再販年間販売戸数ランキング2016~2022)をもとに大京穴吹不動産にて算出
*注2…2013年3月期~2022年3月期の1棟トータルリノベーション事業「グランディーノ」シリーズの販売戸数を含みます
大京穴吹不動産事業推進部 部長 杉原直樹氏
急成長するマンション買取再販で業界トップ
――マンションの買取再販事業は、大京穴吹不動産としてはもちろん、大京およびその子会社全体で大きな強みになっているのではないでしょうか?
幡野:我々が展開するサービスは、「マンションの価値を最大化する」ものです。マンションにおける売買仲介、賃貸管理、リフォーム、買取再販など、あらゆるニーズに応える体制があるのは、非常に大きな強みですね。
市場の動向をみると、既存住宅のストックが増えて買取再販の流通量は増加しています。今後ますますマーケットの拡大が期待できる分野です。
都心では広さを兼ね備えた新築分譲マンションの供給が難しくなっている中、リフォーム物件へのニーズは高まっています。条件次第では住宅ローン減税などの対象になるので、今後ますますマーケットは拡大するでしょう。そういったニーズに応えていくのは、我々の責務です。
弊社による買取再販は、売主さまにとっては早期に手間なく売却することを可能にし、買主さまにとっては内装を一新した物件を入手できることが、大きなメリットです。弊社がいったん売主になってリフォームすることで、設備保証が付くのも魅力だと思います。
大京穴吹不動産事業推進部 次長 幡野勝己氏
多様な選択肢を提示しコンサル的にアドバイスを
――そういったニーズの多様化に応えるために、具体的にどのようなサービスを提供しているのでしょうか?
幡野:お客さまには「仲介売却」「弊社による買取」「賃貸」など、いくつかのパターンでシミュレーションして提示します。ときには売却せずに「リフォームして住み続ける」ことを提案することもあります。
――売却以外のさまざまな選択肢があることで、最適な方法を選ぶことが可能になりますね?
幡野:我々が考えるのは、お客さまにとって「何が一番よいのか」です。
もちろん、それはケースバイケースです。「しばらく賃貸にして物件価格が値上がりしたタイミングで売りたい」と考える方もいれば、「賃貸の長期的な管理が煩わしいから早く手放したい」という方もいます。「内見が煩わしいので買取してほしい」という方も最近はかなり増えています。
我々は、それぞれの意向を丁寧にうかがいながらコンサル的に対応することで、お客さまからの信頼を勝ち得ています。
大京穴吹不動産が手がけたリノベーションの実例
大京ブランドが保証する「4つの品質」
――急拡大している買取再販市場では、どのような戦略で大京穴吹不動産としての価値を打ち出しているのですか?
幡野:買取再販では業界でも先駆けて2012年から「Renoα(リノアルファ)」というブランドを展開しています。
Renoα(リノアルファ)の特長は、「4つの品質」(仕入れ品質・プランニング品質・施工品質・アフターサービス品質)を掲げていることです。大京の確かな基準で品質を保証することで、買主さまの中古住宅に対する不安を少しでも取り除き、安心と洗練されたデザインの住まいという価値をお届けしています。
これらの4つの品質を保証するために、多くの物件を手がけてきた我々プロの目を通して、物件ごとに企画、施工管理を実施。手を入れるべきところはしっかり手を入れ、さらに保証も付けることで、安心して住んでいただける状態にしています。
リノベマンションのイメージアップに貢献も
幡野:Renoα(リノアルファ)の設計の多くは、大京でライオンズマンションを設計していたスタッフが担当しています。大京ブランドならではの、独自のこだわりが随所に反映されています。だからこそ安心できるし、プラスアルファの価値も感じられる。こういう点が、今のマンションリノベーションに求められていると思います。
逆に、ご自身で中古マンションをリノベーションする場合、予想外に費用や時間がかかることも多くあります。また、リノベーションする前では具体的なイメージがしづらいこともありますが、リノベーション済み物件なら実際に見て判断できるのもメリットです。
――他社との差別化に欠かせないのが、ブランド戦略だということですね?
幡野:そうですね。買取再販市場が出てきた頃から、他社に先駆けてRenoα(リノアルファ)ブランドを立ち上げ、市場を開拓してきたという自負は強くあります。当時は、表面的なリフォームをして、あとからトラブルになる事例も少なくなく、中古マンションのリフォーム物件への不安を抱く人も多くいました。そんな中、我々が4つの品質保証を兼ね備えたRenoα(リノアルファ)をブランドとして展開。この戦略は弊社だけでなく、中古マンションのリノベーション物件へのイメージを変えるのに、大きな役割を果たしたと思っています。
顧客視点に立った「不動産市況オンラインセミナー」の成功
――マンション購入を検討している人の不安を解消するという点では、大京穴吹不動産が主催するセミナーもあります。これは具体的にどんなセミナーなのでしょうか?
杉原:2020年4月から「不動産市況オンラインセミナー」を無料で開催し、非常に多くの方々にご参加いただいています。
マンションなどの不動産売買は多くの人にとって、一生に一度の大イベントです。そのため、どうしても経験値が少なく、わからないことが多い。そこで、第三者目線で確かな情報を提供し、後悔しない決断をしていただくお手伝いをしたいというのがこのセミナーの狙いです。
――このセミナーのポイントは、専門家による中立公平な意見が聞けることだそうですね?
杉原:その通りです。毎回、テーマに合わせた専門家を招いて、最新の不動産市況について解説していただいています。学識者や不動産ジャーナリスト、ユニークなところでは不動産YouTuberなどにも登壇いただいています。
「弊社に都合がよくない話でも“顧客のため”が優先」
実は、以前もセミナーを開催していたのですが、そのときは相続税対策、家族信託、不動産関連の税制など、どちらかというとお客さまのニーズより我々が紹介したい情報を提供する場という傾向が強かったんです。
しかし、コロナ禍で対面の営業もままならない中、より多くの方に不動産売買への関心を高めていただくには、お客さまが本当に知りたい情報を幅広く提供することが必要でした。そこでより関心の強い「不動産市況」へとテーマをアップデートしたという経緯です。
不動産市況は、一部のメディア報道でインパクトのある数字や情報が切り取られて伝えられることが多くあります。しかし、報道されることが全てではなく、実際にはまた違う背景や視点があります。
そういった情報を専門家に包括的、かつ客観的に分析してもらうことで、不動産への知識関心を深めていただきたい。あくまでも我々は、そのための場を提供するだけの“黒子”です。
そのように方針を変更したところ、最初こそ20名程度だった参加者も、今では毎回数百名が参加されるほどになりました。
――第三者視点の講演となると、ときには主催者である大京穴吹不動産にとっても耳の痛い話が出たりするのでしょうか?
杉原:耳が痛いということはないですが、我々の立場ではとても言えないような、きたんのない攻めた発言が出ることはありますね。このセミナーはあくまでもお客さまのためになることが重要なので、そういう意味ではたとえ弊社にあまり都合がよくない話があったとしても、「中立性・公平性」は譲れないポイントです。
1回のセミナーで、識者やアナリストの意見、ジャーナリストやブロガー、YouTuberによるズバリ本音ベースの発言がバランスよく聞けるコンテンツになっているのも、評価いただいているポイントです。特に、データを駆使した分析などは参加者から「わかりやすい」「納得できる」という声を多くいただいています。
本社と営業が一体化することでセミナー効果をアップ
――社員のみなさんは、このセミナーについてどのような反応ですか?
杉原:「非常に勉強になる」という声が多いですね。セミナーで学んだことを、営業でお客さまにお伝えすることもあるようです。
――場所を選ばないオンラインセミナーという手法も、数百名が参加する規模へと成長した理由だと思います。何か今後の課題は感じていますか?
杉原:国内に限らず海外から参加する方もいらっしゃいます。課題と感じているのは、やはりみなさん、自分の関心がある地域の情報をピンポイントで知りたいと思っていることですね。
それぞれの要望に完全に応えるのはハードルが高いですが、全体的な話と個別の事例を出すことでうまくバランスを取っていけたらと考えています。
――今後はこのセミナーをどうアップデートしていく予定ですか?
杉原:セミナーを企画し、参加者が何かしらの気づきを得て、それを営業が具現化していくというスキームが浸透し、今では本社と営業が一体となってセミナーを企画・営業して成功させるという流れができています。今後、大京およびその子会社でも大規模なセミナーの開催を検討しているところです。幅広いお客さまの層に対応する、多様なコンテンツを用意して、相乗効果を狙っていきたいですね。
「ユーザーファースト」で顧客と社会のニーズに応える
――勢いに乗る中古マンション買取再販、顧客のニーズに応える充実した不動産市況オンラインセミナーなど、大京穴吹不動産では一歩先を行く数々の取り組みが成功しています。ここからさらなる飛躍のために、どのような展望をお持ちですか?
杉原:サステナブルな社会が求められる現代において、中古住宅・マンションの有効活用は社会的に必要とされる領域です。そのニーズに応えるためにも、弊社としては売買仲介、賃貸管理、リフォーム、買取再販という全ての事業を通じて、幅広い選択肢を丁寧に提案。売主さまがベストな解決策を見つけることを全力でサポートしていきます。
そんな我々の想いを、2022年に「ユーザーファースト宣言」として示しました。「私たちは常にお客さまにとってのベストなプランをご提案し、お客さまの期待にお応えします」という宣言で、具体的には「真摯な傾聴」「納得の説明」「確かな約束」の3つをお客さまに対して実行していきます。
こういった宣言をすることで、会社はもちろん、社員一人ひとりの意識もさらに変わっていくはずです。お客さまに求められる行動を続けていく先に、会社のさらなる成長が待っていると確信しています。
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2023年3月11日(土)10:00AM~11:30AM 開催